一日葬とは、通夜を省略して告別式と火葬を1日で行う葬儀の形式です。遺族や参列者の身体的・精神的な負担を軽減でき、費用も一般葬より抑えられることから、近年選ぶ方が増えています。費用相場は総額で30万円〜60万円が目安です。
この記事でわかること:
- 一日葬の具体的な流れとタイムスケジュール
- 費用の相場と内訳
- メリット・デメリットと向いている方
- 参列者への案内方法と注意点
- 家族葬・直葬との違い
※葬儀費用全般の相場は葬儀費用の相場と内訳、火葬のみの直葬については直葬の流れ・費用・注意点もあわせてご覧ください。
一日葬とは
一日葬は、一般的な葬儀で行われる通夜を省略し、告別式(葬儀式)と火葬を1日で完結させる葬儀の形式です。「ワンデー葬」と呼ばれることもあります。
一般葬との違い
一般葬では1日目に通夜、2日目に告別式・火葬と、2日間にわたって執り行います。一日葬では通夜を行わず、告別式と火葬のみを1日で済ませます。宗教儀式(読経・焼香)は告別式のなかで行われるため、故人を弔う場は確保されます。
一日葬が増えている背景
高齢化に伴い、遺族自身が高齢であるケースが増えています。2日間にわたる葬儀は身体的に厳しいという声が多くなり、また、故人の交友関係が限られている場合は通夜の参列者が少なく形式的になりがちです。こうした事情から、必要な儀式を凝縮して1日で行う一日葬の需要が高まっています。
一日葬の流れとタイムスケジュール
一日葬は当日の進行が凝縮されているため、事前に流れを把握しておくとスムーズです。ここでは一般的なタイムスケジュールをご紹介します。
前日まで(搬送・安置・打ち合わせ)
ご逝去から一日葬の当日までは、一般葬と同じ準備が必要です。
- 搬送:病院や自宅から安置施設へご遺体を搬送
- 安置:自宅または葬儀社の安置施設で1〜3日間安置
- 打ち合わせ:葬儀社と式の内容・参列者数・祭壇・返礼品などを決定
- 訃報連絡:参列者に「通夜は行わず、告別式のみ」である旨を案内
当日の流れ
一般的なタイムスケジュールの目安です。地域や葬儀社、火葬場の予約状況により前後します。
| 時間帯 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 9:00〜10:00 | 式場準備・遺族集合・受付開始 | 約60分 |
| 10:00〜11:00 | 告別式(読経・焼香・弔辞) | 約60分 |
| 11:00〜11:30 | 出棺・喪主挨拶 | 約30分 |
| 11:30〜13:00 | 火葬・収骨 | 約90分 |
| 13:00〜14:00 | 精進落とし(会食) | 約60分 |
朝から始めて昼過ぎには終わるのが一般的です。火葬場の予約時間によっては午後開始になるケースもあります。精進落としを省略し、返礼品のみでお渡しする場合はさらに短くなります。
編集部の見解
一日葬は「1日で終わる」とはいえ、当日のスケジュールは意外とタイトです。一般葬なら通夜と翌日の告別式に分散できる対応(弔問客への挨拶、僧侶との打ち合わせ、返礼品の確認など)をすべて当日の朝にこなす必要があります。遺族の負担を減らすために一日葬を選んだのに、当日がかえってバタバタしてしまうことも。葬儀社との事前打ち合わせで段取りを細かく詰めておくことをお勧めします。
費用の相場と内訳
一日葬の費用は、通夜を行わない分だけ一般葬よりも抑えられます。ただし「通夜を省略した分だけ安くなる」とは限らず、葬儀社のプラン構成によって差が出ます。
費用相場の目安
| 費目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 葬儀本体 | 20万円〜40万円 | 祭壇・棺・式場使用料・搬送・火葬料 |
| 飲食接待費 | 5万円〜10万円 | 精進落とし(省略する場合は不要) |
| 返礼品 | 3万円〜8万円 | 参列者数に応じて変動 |
| お布施 | 10万円〜30万円 | 宗派・地域により幅あり |
| 総額の目安 | 30万円〜60万円 | 参列者10〜30名程度の場合 |
一般葬との費用差
一般葬の総額が150万円〜200万円とされるのに対し、一日葬は30万円〜60万円と半分以下になるケースが多くあります。差の主な要因は以下のとおりです。
- 通夜振る舞い(飲食)が不要になる
- 式場使用料が1日分で済む
- 参列者が少人数になりやすく、返礼品の数が減る
ただし、お布施は一般葬と同額を求められることがあり、「通夜をやらなかった分だけ安くなる」と期待すると見積もりとズレが出ることもあります。見積もりは総額で比較してください。
費用を抑えるポイント
- 2〜3社から同条件で見積もりを取る
- 精進落としを省略し、返礼品に切り替える
- 公営の火葬場を利用する(民営より安い場合が多い)
- 葬儀社の自社会館を使う(外部式場より使用料が抑えられる傾向)
メリット・デメリット
一日葬には遺族にとっての利点がある一方で、注意すべき点もあります。選ぶ前に両面を把握しておくことが大切です。
メリット
- 遺族の身体的・精神的負担が軽い:2日間の対応が1日に凝縮されるため、高齢の遺族にとって大きなメリットです
- 費用を抑えられる:通夜振る舞いの飲食費と1日分の式場使用料が不要になります
- 参列者の負担も軽い:通夜と告別式の両方に出席する必要がなく、遠方の方も参列しやすくなります
- 仕事を休む日数が少なくて済む:遺族・参列者ともに社会的な負担が減ります
- 宗教儀式は行える:直葬と異なり、読経・焼香・弔辞といった儀式を含められます
デメリット
- 参列できない人が出る:日中のみの開催となるため、仕事の都合で参列できない方が出やすくなります。通夜は夕方以降のため仕事帰りに参列できましたが、一日葬ではその機会がありません
- 菩提寺の理解が必要:通夜の読経を省略することに難色を示す僧侶もいます。事前に相談が必要です
- 親族間で意見が割れることがある:「通夜をやらないのは故人に失礼だ」と感じる親族もいます。事前に一日葬を選ぶ理由を共有しておくことが大切です
- 当日の対応がタイトになる:準備から火葬まで半日に集中するため、遺族は慌ただしくなりがちです
- 後日弔問が増える可能性:参列できなかった方が自宅に弔問に来ることがあり、その対応に時間を取られることもあります
参列者への案内と注意点
一日葬を行う場合、通夜がないことを正確に伝えなければ参列者に混乱が生じます。案内の仕方にはいくつかのポイントがあります。
訃報連絡に記載すべき内容
訃報の連絡(電話・メール・LINE・文書)では、以下を明記してください。
- 通夜は行わず、告別式のみで執り行うこと
- 告別式の日時と場所
- 服装(一般的な喪服で問題ない旨)
- 香典辞退の場合はその旨
案内文例
案内文例
故○○○○の葬儀につきまして、誠に勝手ながら通夜は執り行わず、下記のとおり告別式のみにて送らせていただきます。
ご多用のところ恐れ入りますが、ご参列いただけますと幸いです。
日時:○月○日(○)午前10時より
場所:○○会館(住所)
※ 服装は喪服にてお越しください。
参列できなかった方への対応
一日葬は日中に行われるため、仕事の都合で参列できない方が出ることは避けられません。後日のお別れの場として、以下の対応を用意しておくと丁寧です。
- 後日、自宅でのお線香をあげる機会を設ける
- 弔電や供花の案内を訃報連絡に含める
- 四十九日法要で改めてお別れの場を作る
家族葬・直葬との違い
一日葬と混同されやすいのが「家族葬」と「直葬」です。それぞれ分類の軸が異なりますので、整理しておきます。
| 項目 | 一日葬 | 家族葬 | 直葬 |
|---|---|---|---|
| 分類の軸 | 日程(1日で完結) | 参列者の範囲(少人数) | 形式(火葬のみ) |
| 通夜 | なし | あり(省略も可) | なし |
| 告別式 | あり | あり | なし |
| 宗教儀式 | あり(読経・焼香) | あり | なし(炉前読経のみ可) |
| 費用相場 | 30万円〜60万円 | 80万円〜150万円 | 15万円〜30万円 |
| 参列者数 | 10〜50名 | 10〜30名 | 5名以下 |
組み合わせも可能
一日葬と家族葬は分類の軸が違うため、「家族葬を一日葬の形式で行う」ことも可能です。実際に、近親者のみ・通夜なし・告別式と火葬を1日でという組み合わせは、近年最も選ばれている形の一つです。
一日葬が向いている方
- 遺族や親族が高齢で、2日間の葬儀が体力的に厳しい
- 故人の交友関係が限られており、通夜の参列者が少ない
- 費用を抑えたいが、宗教儀式は行いたい
- 遠方からの参列者が多く、日帰りで参列してもらいたい
- 仕事の関係で、遺族が長期間休めない
編集部の見解
一日葬を選ぶうえで最も大切なのは、「通夜を省略してよいか」を親族間で事前に合意しておくことです。遺族の判断だけで進めると、「通夜で故人を偲ぶ時間がなかった」「通夜に行きたかったのに案内がなかった」といった不満が後から出ることがあります。特に故人の兄弟姉妹や年配の親族には、一日葬を選ぶ理由(遺族の体調・故人の生前の希望など)を丁寧に伝えることをお勧めします。形式で揉めることほど、故人に申し訳ないことはありません。
地域の葬儀社で一日葬に対応しているか
事前に確認しておくと安心です。
編集部が7つの観点で評価したランキングもご参考に。
よくある質問
一日葬の費用はいくらくらいですか?
一日葬の費用相場は総額で30万円〜60万円程度です。内訳は葬儀本体費用(祭壇・棺・式場・火葬料)が20万円〜40万円、飲食接待費が5万円〜10万円、返礼品が3万円〜8万円、お布施が10万円〜30万円です。通夜を行わないため、一般葬と比べて会場使用料と飲食費を抑えられます。ただし、葬儀社や地域、参列者の人数によって総額は変わりますので、必ず総額の見積もりを取って比較してください。
一日葬と家族葬は何が違いますか?
一日葬と家族葬は分類の軸が異なります。一日葬は「日程」に関する形式で、通夜を省略して告別式と火葬を1日で行うことを指します。家族葬は「参列者の範囲」に関する形式で、親族や近しい友人だけで行う小規模な葬儀を指します。したがって「家族葬を一日葬で行う」ということも可能です。実際に、家族葬と一日葬を組み合わせて行うケースは増えています。
一日葬で香典は必要ですか?
一日葬であっても、香典の扱いは一般葬と基本的に同じです。参列する場合は通常どおり香典を持参します。ただし、ご遺族が香典辞退を案内している場合はその意向に従ってください。辞退されていなければ、関係性に応じた金額(友人・知人で5,000円〜1万円、親族で1万円〜5万円)を包むのが一般的です。
一日葬に参列する場合、服装はどうすればいいですか?
一日葬でも服装のマナーは一般的な葬儀と変わりません。男性は黒のフォーマルスーツに白シャツ・黒ネクタイ、女性は黒のワンピースまたはアンサンブルが基本です。アクセサリーは真珠の一連ネックレスのみ許容されます。通夜がないため「取り急ぎの平服」で迷う場面はなく、告別式に合わせた喪服で参列すれば問題ありません。
一日葬でお坊さんにお経をあげてもらえますか?
一日葬でも僧侶に読経をお願いすることは可能です。告別式での読経・焼香、火葬前の読経など、一般葬と同じ宗教儀式を組み込めます。ただし、菩提寺がある場合は事前に一日葬の形式で行うことを相談してください。通夜を省略することに対して僧侶の理解が必要な場合があります。お布施の相場は宗派や地域にもよりますが、10万円〜30万円程度が目安です。