家族葬とは、親族や特に親しい友人など少人数だけで行う葬儀の形式です。参列者は10名〜30名程度が一般的で、費用の総額は80万円〜150万円が目安になります。近年は葬儀全体の約4割を家族葬が占めるまでに増えています。

この記事でわかること:

  • 家族葬の定義と一般葬との違い
  • 家族葬の具体的な流れ
  • 参列者をどこまで呼ぶかの判断基準
  • 後日弔問への対応方法

※家族葬の香典マナーは家族葬の香典マナー、家族葬で起きやすいトラブルは家族葬のトラブル事例と回避法もあわせてご覧ください。

家族葬とは

家族葬は、故人の家族や親族、ごく親しい友人など限られた方だけで執り行う葬儀です。「家族だけの葬儀」というイメージがありますが、実際には家族以外の方を招くケースもあり、「少人数の葬儀」と捉えるのが正確です。

家族葬が選ばれている背景

鎌倉新書の「お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、家族葬を選ぶ方の割合は年々増加しています。背景には以下の社会的な変化があります。

家族葬の参列者数と費用の目安

家族葬の規模感を把握しておくと、葬儀社との打ち合わせがスムーズになります。

家族葬の基本データ
項目 目安
参列者数 10名〜30名
費用総額 80万円〜150万円
日程 2日間(通夜+告別式)が基本
宗教儀式 あり(読経・焼香)
香典 受け取る場合と辞退する場合がある

一般葬との違い

家族葬と一般葬の最も大きな違いは参列者の範囲です。式の進行や宗教儀式の内容自体はほぼ同じですが、規模の違いから費用や準備の負担に差が出ます。

家族葬と一般葬の比較
比較項目 家族葬 一般葬
参列者の範囲 親族・ごく親しい友人のみ 仕事関係・知人・近隣も含む
参列者数 10名〜30名 50名〜100名以上
費用総額 80万円〜150万円 150万円〜200万円
通夜 あり(省略も可) あり
告別式 あり あり
受付対応 簡易 or なし 必要(複数名で対応)
香典 辞退するケースも多い 受け取るのが通例
後日弔問 対応が必要になる場合あり ほとんど発生しない

一日葬・直葬との違い

家族葬と混同されやすいのが「一日葬」と「直葬」ですが、それぞれ分類の軸が異なります。

これらは組み合わせることも可能です。「家族葬を一日葬の形式で行う」というケースは近年増えています。

編集部の見解

家族葬は「安い葬儀」と思われがちですが、葬儀本体の費用(祭壇・棺・搬送等)は一般葬とあまり変わりません。安くなるのは飲食費と返礼品、つまり参列者数に比例する部分だけです。一方で、一般葬では参列者からの香典収入がまとまった金額になるのに対し、家族葬では香典辞退も多く、結果的に持ち出し額は同程度になることがあります。「費用を抑えたい」が第一の理由であれば、家族葬・一日葬・直葬のそれぞれの総額を見積もりで比較することをお勧めします。

朝露に濡れた苔と石畳のある日本庭園

家族葬の流れ

家族葬の流れは、基本的に一般葬と同じです。ただし規模が小さいため、各段階の準備が簡素になります。

ご逝去から葬儀までの流れ

  1. ご逝去・搬送:病院や自宅から安置施設へ遺体を搬送します。葬儀社への連絡はこの段階で行います
  2. 安置:自宅または葬儀社の安置施設で1〜3日間安置します。この間にドライアイスの処置が行われます
  3. 打ち合わせ:葬儀社と式の内容・日程・祭壇・返礼品を決めます。家族葬であれば「参列者リスト」の確認が特に重要です
  4. 訃報連絡:参列していただく方に連絡します。家族葬の場合は「家族葬で行うこと」と「参列の可否」を明確に伝えます
  5. 通夜:1日目の夕方〜夜に行います。読経・焼香の後、通夜振る舞い(会食)があります。少人数のため和やかな雰囲気で行われることが多いです
  6. 告別式(葬儀式):2日目の午前中に行います。読経・焼香・弔辞の後、出棺となります
  7. 火葬・収骨:火葬場で荼毘に付した後、遺骨を骨壺に納めます。所要時間は60〜90分です
  8. 精進落とし:火葬後の会食です。省略して返礼品のみとする場合もあります

一般葬と異なる点

流れ自体は同じですが、家族葬ならではの違いがいくつかあります。

参列者の範囲と決め方

家族葬で最も悩むのが「どこまで呼ぶか」です。明確な決まりはありませんが、判断の目安を整理しておきます。

一般的な参列者の範囲

家族葬で呼ぶ範囲の目安
範囲 対象 人数の目安
最小(家族のみ) 配偶者・子ども・孫 5名〜10名
標準(親族中心) 上記+兄弟姉妹・その配偶者 10名〜20名
やや広め 上記+おじ・おば・親しい友人 20名〜30名

判断に迷ったときのポイント

訃報連絡の伝え方

家族葬の場合、訃報連絡は2段階に分けると混乱が少なくなります。

  1. 参列していただく方への連絡:日時・場所・家族葬である旨を伝えます
  2. 参列をご遠慮いただく方への連絡:「家族葬で行いますので、弔問・香典・供花はご辞退申し上げます」と明確に伝えます。葬儀後にあらためて報告するのがマナーです
線香の煙がたなびく仏壇のある静かな和室

後日弔問の対応

家族葬を行った場合、参列できなかった方が後日自宅に弔問に訪れることがあります。事前に対応方針を決めておくと、遺族の負担を軽減できます。

弔問を受け入れる場合

弔問をお断りする場合

遺族の体調や事情で弔問を受け入れられない場合は、無理に応じる必要はありません。

編集部の見解

家族葬のデメリットとして「後日弔問の対応が大変」という声は多く聞かれます。実は、後日弔問が負担になるかどうかは、葬儀前の訃報連絡の仕方で大きく変わります。訃報連絡の段階で「弔問・香典・供花はご辞退申し上げます」と明記しておけば、突然の弔問は大幅に減ります。逆に、何も伝えないまま家族葬を行い、後日になって訃報を知らせると「なぜ呼んでくれなかったのか」「せめて手を合わせに行きたい」という流れになりやすいのです。後日弔問の対策は、葬儀の後ではなく前に打っておくことが肝心です。

家族葬で知っておきたい注意点

家族葬を選ぶ前に、いくつかの注意点を把握しておくと後悔を防げます。

親族間の合意を事前に取る

家族葬に対して「故人への弔いが不十分ではないか」「なぜ呼んでもらえないのか」と感じる親族もいます。特に故人の兄弟姉妹や年配の方は、一般葬が当然と考えていることが少なくありません。

家族葬を選ぶ場合は、キーパーソンとなる親族(故人の兄弟姉妹など)に事前に相談し、理解を得ておくことが大切です。

葬儀社選びのポイント

家族葬を扱う葬儀社は多くありますが、以下の点を確認しておくと安心です。

葬儀社の選び方については葬儀社の選び方ガイドもご参照ください。

菩提寺への事前相談

菩提寺がある場合は、家族葬で行うことを事前に僧侶に伝えておきましょう。通夜を省略する場合は特に、僧侶の理解が必要になります。無断で行うと、納骨の際に受け入れてもらえないケースもあります。

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よくある質問

家族葬と一般葬の違いは何ですか?

家族葬と一般葬の違いは主に参列者の範囲と規模です。一般葬は故人の仕事関係・知人・近隣の方まで幅広く招いて行い、参列者は50名〜100名以上になることもあります。家族葬は親族や特に親しい友人のみで行い、参列者は10名〜30名程度が一般的です。式の流れ自体(通夜→告別式→火葬)は同じですが、規模が小さい分、費用を抑えられ、遺族がゆっくりと故人を見送れるのが家族葬の特徴です。

家族葬にはどこまでの人を呼べばいいですか?

家族葬に呼ぶ範囲に明確な決まりはありません。一般的には故人の配偶者・子ども・孫・兄弟姉妹とその配偶者が中心で、親しい友人を数名加えるケースもあります。2親等以内(祖父母・孫・兄弟姉妹)を目安にする方が多いですが、故人が特に親しくしていた方がいれば柔軟に判断してよいでしょう。大切なのは、呼ばなかった方にも訃報と家族葬で行う旨を事前に伝えることです。事後報告だけでは後々トラブルになることがあります。

家族葬の費用はいくらくらいですか?

家族葬の費用相場は総額で80万円〜150万円程度です。内訳は葬儀本体費用(祭壇・棺・式場・搬送・火葬料)が40万円〜80万円、飲食接待費が10万円〜20万円、返礼品が5万円〜15万円、お布施が10万円〜30万円です。一般葬(150万円〜200万円)と比べて参列者が少ない分、飲食費と返礼品を抑えられます。ただし、葬儀本体費用は一般葬とあまり変わらないため、大幅に安くなるわけではありません。

家族葬で香典は受け取るべきですか?

家族葬での香典の扱いはご遺族の判断に委ねられます。辞退する場合は訃報連絡の時点で「香典は辞退させていただきます」と明記しましょう。受け取る場合は一般葬と同様の対応で問題ありません。辞退を案内したにもかかわらず持参された場合は、無理にお断りせず受け取り、後日香典返しをお送りするのがスムーズです。香典の相場やマナーの詳細は別記事「家族葬の香典マナー」もご参照ください。

家族葬の後日弔問にはどう対応すればいいですか?

家族葬に参列できなかった方が後日自宅に弔問に来ることがあります。対応のポイントは3つです。まず、弔問を受け入れる期間をあらかじめ決めておくこと(四十九日法要までが一般的な目安)。次に、訃報連絡の際に「弔問は〇月〇日以降に自宅にて承ります」と案内しておくこと。そして、弔問が難しい場合は「お気持ちだけ頂戴します」と丁寧にお断りして問題ありません。無理に全員を受け入れようとすると、遺族の負担が大きくなりすぎます。