初めて喪主を務める方にとって、何から手をつけてよいか分からず戸惑うのは当然のことです。喪主の役割は大きく分けて「死亡直後の判断」「葬儀当日の挨拶と接待」「葬儀後の手続き」の3段階に分かれ、時系列でやるべきことを把握しておけば、悲しみの中でも落ち着いて対応できます。

この記事では喪主のやることを次の順番で丁寧に整理します。

  • 喪主は誰が務めるか — 決め方の基本
  • 死亡直後から葬儀までの時系列タスク
  • 葬儀当日の喪主の役割
  • 葬儀後にやるべき手続きとフォロー

喪主は誰が務めるか

喪主は故人に代わって葬儀を取り仕切り、弔問を受ける代表者です。法律で定められた役職ではないため、誰が務めるかは家族の話し合いで決めて構いません。

一般的な順位

伝統的には次の順番が目安とされています。

  1. 配偶者(夫または妻)
  2. 長男
  3. 次男以下の男の子
  4. 長女
  5. 次女以下の女の子
  6. 故人の父母
  7. 故人の兄弟姉妹

近年は性別・長子に関係なく、故人と最も縁が深く、葬儀を実務的に取り仕切れる方が務めるケースが増えています。遠方に住む長男よりも、同居していた次女のほうが実情に詳しいという場合も多いため、形式にこだわらず話し合いで決めてください。

喪主と施主の違い

「喪主」は葬儀を取り仕切る代表、「施主」は葬儀費用を出す人を指します。通常は同じ人が兼ねますが、分けることも可能です。たとえば「高齢の配偶者を喪主に立て、実務と費用は子が施主として引き受ける」といった分担はよくある形です。

畳の上に置かれた黒い礼服と白いハンカチの静物

死亡直後〜葬儀までのタスク

ご臨終から葬儀までの2〜3日間に、喪主がやるべきことが集中します。順番を覚えておくと迷いません。

時系列チェックリスト

死亡直後〜葬儀までのタスク一覧
タイミング やること ポイント
ご臨終直後 死亡診断書を受け取る コピーを複数取っておく
1時間以内 葬儀社へ連絡 病院紹介に即決しない
数時間以内 遺体搬送・安置 自宅or安置施設を選ぶ
当日〜翌日 菩提寺へ連絡 読経・戒名を相談
当日〜翌日 葬儀社と打ち合わせ 形式・日程・見積もり
日程決定後 訃報連絡 親族→会社→友人の順
前日まで 挨拶文の準備 短くて構わない
前日まで 喪服・数珠の準備 急ぎならレンタル可

葬儀社選びで後悔しないコツ

ご臨終直後、病院から「提携の葬儀社を呼びましょうか」と提案されることがありますが、即決せずに一度深呼吸してください。病院紹介の葬儀社は搬送が早い反面、料金が高めに設定されていることが少なくありません。事前に葬儀社を決めていなくても、スマートフォンで2〜3社に電話して見積もりを取るだけで、数十万円単位で費用が変わることがあります。

菩提寺への連絡

代々お世話になっているお寺(菩提寺)がある場合は、必ず早めに連絡してください。菩提寺に相談せずに葬儀を進めると、後日納骨を断られるトラブルになることがあります。菩提寺が遠方の場合は、葬儀社を通じて同じ宗派の僧侶を手配することも可能です。

編集部の見解

初めて喪主を務める方が最も後悔しやすいのは「言われるまま葬儀社を決めてしまった」というポイントです。ご家族が亡くなった直後は判断力が落ちていて当然ですが、その状態で高額な契約を結ぶのは大きなリスクです。可能であれば生前のうちに葬儀社を比較しておく「終活」が最も安心ですし、直後であっても「2社だけ見積もりを取る」と決めるだけで後悔を大きく減らせます。

葬儀当日の喪主の役割

葬儀当日は葬儀社のスタッフが進行を全て取り仕切ってくれます。喪主は段取りを覚える必要はなく、以下の役割に集中してください。

参列者への挨拶と接待

受付付近または式場入り口で参列者をお迎えし、「本日はお忙しい中ご会葬いただき、誠にありがとうございます」と短く挨拶します。長話をする必要はなく、深く一礼するだけで十分伝わります。

僧侶の接待

僧侶が到着したら、控室へご案内し、お茶をお出しします。お布施は開式前または閉式後にお渡しするのが一般的です。お布施の相場・渡し方はお布施の相場と渡し方の記事を参考にしてください。

喪主の挨拶

通夜・告別式・精進落としの各場面で、喪主として短い挨拶を行います。長さは1〜3分程度で構いません。文例は喪主の挨拶 文例集の記事に多数掲載しています。原稿を紙に書いて読み上げても失礼にはあたりません。

弔問客との対応

弔問客から「このたびはご愁傷様でございました」と声をかけられたら、「お忙しい中ありがとうございます」「恐れ入ります」と短く返します。深い話は後日改めて、と心得てください。

窓辺の白い百合の花と和紙に包まれた線香の静物

葬儀後にやるべきこと

葬儀が終わってからも、喪主には多くのタスクが残っています。期限のある手続きから優先的に進めてください。

行政手続き(期限順)

香典返し・お礼状

香典返しは四十九日法要の後に送るのが一般的です。いただいた香典の半額〜3分の1相当の品物を、お礼状を添えて贈ります。葬儀当日にその場でお渡しする「当日返し」を選ぶご家庭も増えています。

四十九日法要の手配

四十九日は葬儀後の大きな節目です。菩提寺との日程調整、会場手配、会食手配、案内状送付などを喪主が中心になって進めます。納骨もこのタイミングで行うのが一般的です。

各種名義変更

公共料金・銀行口座・クレジットカード・携帯電話・自動車・不動産など、故人名義のものは順次名義変更または解約が必要です。相続関係が確定してから進める項目もあるため、必要書類を整理しながら計画的に行ってください。

初めての喪主の心得

初めて喪主を務める方に向けて、心構えとして覚えておきたい3つのポイントをまとめます。

完璧を目指さない

葬儀は段取りの多い儀式ですが、多少の段取りミスは参列者もご遺族も気にしません。完璧に取り仕切ろうと力む必要はなく、「故人を丁寧に見送る」という気持ちがあれば十分です。

頼れる人に頼る

喪主一人で全てを抱え込む必要はありません。親族に役割を分担してもらう、葬儀社のスタッフに遠慮なく質問する、会社や学校の忌引き制度を活用する、というように、周囲の力を借りてください。忌引きの日数と会社への伝え方も参考になります。

費用は必ず比較する

葬儀費用は葬儀社によって大きく異なります。同じような内容でも50万円以上差が出ることが珍しくありません。時間がない中でも、最低2社から見積もりを取るだけで、無駄な出費を避けられます。

編集部の見解

初めての喪主は「知らないこと・決めること」の多さに圧倒されますが、実際には葬儀社のスタッフが経験豊富で、一つひとつ丁寧に案内してくれます。「わからないことは全部聞く」と最初に心に決めておけば、ほとんどの不安は解消されます。わからないまま進めて後から後悔するより、何度でも質問するほうがずっと大切です。

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よくある質問

喪主は誰が務めるのが一般的ですか?

喪主は故人の配偶者が務めるのが最も一般的です。配偶者が高齢や体調不良で難しい場合は、長男、次男以下の男の子、長女、次女以下の女の子という順番が目安とされています。ただし法律で決まっているわけではなく、故人と最も縁の深い方、葬儀を実務的に取り仕切れる方が務めればよく、近年は性別・長子に関係なく話し合いで決めるご家庭が増えています。

喪主が最初にすべきことは何ですか?

ご臨終の確認後、まず医師から死亡診断書を受け取り、同時に葬儀社へ連絡します。病院で亡くなった場合は長時間の安置ができないため、葬儀社の手配が最優先です。葬儀社が決まっていない場合は、病院の紹介にすぐ同意せず、一度深呼吸して複数社に電話で見積もりを取ってから決めることをお勧めします。訃報の連絡は葬儀日程が決まってから行います。

葬儀当日、喪主は何をしますか?

喪主の当日の役割は、参列者への挨拶、僧侶の接待、進行の承認、弔問客への対応、そして締めの挨拶です。進行そのものは葬儀社スタッフが取り仕切ってくれるため、喪主が段取りを覚える必要はありません。通夜・告別式・精進落としの各場面で短い挨拶を行うことが求められます。挨拶文例は「喪主の挨拶 文例集」の記事を参照してください。

葬儀後、喪主がやるべき手続きは何ですか?

葬儀後には、死亡届の提出(7日以内)、年金停止、健康保険の脱退、世帯主変更、公共料金や銀行口座の名義変更、相続手続きなど、多くの行政手続きがあります。期限があるものも多いため、優先度の高い順に計画的に進めてください。四十九日法要の手配、香典返しの準備も喪主の役割です。

喪主を務める自信がありません。断ることはできますか?

喪主は法律上の義務ではないため、体調や事情で難しい場合は他の親族に依頼することができます。また「施主(葬儀費用を出す人)」と「喪主(葬儀を取り仕切る人)」を分けることも可能です。ご自身が挨拶や進行に自信がない場合は、葬儀社のスタッフが丁寧にサポートしてくれますので、遠慮なく相談してください。一人で抱え込まないことが大切です。